四国の旅

徳島県道6号 ガード・レールの無い2キロ半
(ガード・レールが如何に風景を台無しにするかについて)

2000.9.14〜17

 

9月14日から17日、松山、香川、徳島を周りました。14日の松山は仕事でした。その後が連休だったので四国の山中を東進し、徳島・阿南市にある父母の墓参りをしようと思った訳です。最初は「四万十川」に行こうと考えたのですが、そのことを高知出身の知人二人に話したところ、「四万十川より仁淀の方がきれいだ」とふたりとも云います。そこで上記のルートにしました。14日は松山泊。15日は白壁の町「内子町」を散策して「仁淀村」へ。そして16日、祖谷渓谷、大歩危小歩危を通り、吉野川沿いに徳島に入る計画でした。

しかしそのルートに「大雨洪水警報」が発令されました。

結果として予定のコースは閉鎖され高知でなく香川経由で徳島に入ることになりました。475Kmの走行でしたが、その間で2500m程の素晴らしい山道を発見しました。

日本全国の至るところに張り巡らされたガード・レール。
都市の景観としても他国であまり見ない異様なものですし、山道では風景を壊しています。ところが2500m程、明らかに意識してガード・レールを敷設していない美しい道を見つけたのです。

愛媛県、内子町。
白壁の町並。やはり心に安らぎを感じる。

断続する強い雨。仁淀への道は直進も迂回も閉鎖され、予約した旅館に電話を入れキャンセル、面河村から香川県方面へ進路を変更しました。丁度その付近で喉が渇き、酒店に入り「ミネラル・ウォター」を求めました。「ありません」とのニベない返事でした。更に「この辺りではどこも売っとらんよ」といいます。 怪訝な顔をする私に、空のペット・ボトルを二本呉れ、そこの水を汲んで行けと玄関口の蛇口を示しました。その水を呑んで、私はうっと息を止めました。旨い。実に。正に最高のミネラル・ウォター。水など誰も買わんから店に無い訳ですね。

画像は「面河村」道中での溢れる谷水。

愛媛から香川への道も、石鎚山を右にしたかなりの山越えでした。緑深く下に渓流があり、おそらく絶景といえる道路なのでしょうが、白いガード・レールが、邪魔するように隙間なく、私の視線を遮り続けました。至るところに「落石注意」の看板がありました。落石にどう注意するのか。ヒラメになってしまう。岩間からは水が吹き出していました。

川内、西条、新居浜、川之江、観音寺に至りました。翌朝、早出して山本町というとこ ろから徳島・池田町に向けて山越えをしました。相変わらず断続的に雨は降り、そして細い崖道に白いガード・レールは延々と続いていました。

前方に「徳島県池田町」「県道6号」の標識。途端に愛媛県より続いたガード・レールが消えたのです。

それは感動的な光景でした。山道の何という優しい美しさ。左側は深い谷です。

ガード・レールで遮られない風景は、柔らかく、優しく広がります。

路肩を示す細い、頭 を赤く塗った標識は適当に打ち込まれています。その向うは深い谷です。

途中で路肩をコンクリートで 固めた場所に竣工の記念石がありました。平成11年5月竣工、とあります。竣工は去 年ですね。ごく最近に整備された道である訳です。明らかに、我がふるさと徳島の道路局は、ガード・レールの敷設を「あえて」しなかったのです。

この右側も樹木は生い茂っていますが急傾斜の谷です。

一箇所だけ、30mほどガード・レールがありました。余程の危険区域なのでしょう。このことが逆に徳島県の意志を表しています。

それにしてもガード・レールが、美しいものを如何にダメにするか、これが普通の光景であることによって如何に私たちの感性を鈍くさせているか、よく分かります。皆さまはどうお思いになりますか?

この県道6号の2キロ半の走行は、この発見の為に今回の四国の旅があったと思えるほど、そして神が私をこの道へ導くために仁淀への通路を遮断したと思えるほど、満足なものでした。この2キロ半は、新緑あるいは紅葉の頃、車でなく歩けば、気が遠くなるほど美しいでしょう。安全を犠牲にしても悔いない、美しいものがこの世にはある、そう私は思うのです。

そして更に、ガード・レールは本当に「安全」なものなのでしょうか。本来持つべき危険への触覚を鈍くするものではないでしょうか。いずれにせよガード・レールは「例外区域」の施設とし、標準的には取り払って欲しいものです。道がどれほどすっきりしたものになることでしょう。私たちは敷設費・維持費の膨大なコストを負担し、風景を鬱陶しいものにしているのです。そして日本には、その類のものが余りにも多すぎるように思います。

吉野川第十堰。石井町側。
大雨のあとも悠然滔々と四国三郎は流れていました。素晴らしい川。
ここにとんでもない構築物を計画する人たちがいるのです。

対岸上板町側より見た吉野川第十堰。
久しぶりにゆっくり空を舞う「鳶」たちを見ました。

 

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