「小泉再訪朝」

「大前研一通信」“電子町内会”での発言(ノムラの部分を抜粋している)

2004/05/22 (土) 06:36

今日、小泉さんは北朝鮮を再訪します。

1.前回もそうでしたが、今回も成功を約束されているわけではありません。と云うより、何をもって「成功」と判断するか、はっきりしていません。底のない暗闇の淵を覗き込む交渉です。結果論で、不十分、不完全、譲歩し過ぎ、を非難される要素は、たっぷりあります。

2.前回と同じように今回も、小泉さんが行く必要はなかったのです。特に二度も続けてこちらから出向く異例への批判がありました。行かないことによって失うものはありませんが、行くことによる失点のリスクはあります。

3.小泉が今日行くのは、前回と同じく、「進展させるには自分が行くしかない。(埒があかない)」と云うことです。私は小泉を支持します。

4.二度こちらから出向く異例は、二度とも日帰り、飯も一緒には食わぬという非礼で、十分に相殺していると思います。

2004/05/22(土) 19:21(小泉総理記者会見直後)

今日の金正日との交渉を経ての、日本国民の「小泉支持率」推移に注目します。
余り下がらなければ、日本国民の質は高いと思います(人は誰も自分と同じ判断をする者を「良質」と思いたがります)。「家族会」の評価はクソミソですし、おそらくほとんどの新聞、週刊誌も、そうであろうと思います。国民全体はどうかなと、興味を持ちます。

1.みんなが満足する要求をすれば(その要求が通らなければこのまま帰ると告げれば)子供「五人」は帰らなかったでしょう。それで良かったでしょうか?

2.ジェンキンス氏は「アメリカ人」であり「アメリカのお尋ね者」です。これは金正日が日本へ「強制送付」せぬ限り、本人が尻込みすれば実現せぬことです。ジェンキンス氏はアメリカと北朝鮮の間におけるカードでもあるでしょう。アメリカが「恩赦」を約束しなかったのは、アメリカ・北朝鮮間の、思惑の一致があると思います。曽我さんはそれを分かっていて、小泉出発前から明るい表情はありませんでした。

3.不明者10名の消息について(他の百数十名については云うまでもなく)、「実はこうでした」と金正日がこの場で云えるでしょうか。「再調査を約束する」、これが一つの儀式でしょう。

いずれ何名かは出てくると思います。「横田めぐみ」さんは切り札でしょう。しかし最終になりますね。田口八重子さんは難しいと思います。田口八重子さん以外は、確実に生きていると思います。

4.私が納得できないのは、制裁を発動しないと約束したと云われることで、事実なら、これは反対です。しかし他のことは、ヤクザ・ゴロツキ相手には、今回この程度で、致し方ないと思います。

5.家族会が強硬に小泉を批判するのは、それはそれで必用であり、極めて有効であると思います。

6.つまり私は、小泉への評価を下げません。孤独な男だな、と思います。

2004/05/23 05:29

> そもそも、日本政府は北朝鮮に対して何も制裁措置を
> 課していない状態で小泉訪朝を打診したのが間違いの
> 元です。訪朝の打診は、せめて特定船舶入港禁止法案
> を通して、これを発動させた後でも良かったのではない
> のでしょうか。

不明10名への再調査がどの程度有効に機能するか、日本国内の反応を金正日は見ているはずですから、金の対応を、私も見てみます。ちょっと経過をみましょう。「特定船舶入港禁止法案」は成立させなければなりません。

「家族会」「救う会」の今までの対応を、私は高く評価します。今回もそうです。
この姿勢を、最後まで続けて欲しいと思います。金正日は、殺し+詐欺+乞食=悪の総合商社、です。そもそも、まともな会話は通じませんね。

「取れるときに取れるだけ取っておく」(蓮池透さんの言葉)、今回は五人しか取れなかったけれど、このことにどのような効果があるのか。地村・蓮池夫婦の黙して語らなかったものが、徐々に出てくる可能性はあるでしょう。その点も含めて、しばらく経過をみたいと思います。

マスコミはしばらく、あの家族を追い回さないように、静かな時間を与えてあげて欲しいと思います。

2004/05/23 06:07

> 今回帰って来た家族5人は、本来交渉のカードになど
> なり得ないはずです。それをカードにしてしまったと
> ころが日本政府の間抜けな所以です。

これは、無条件で返すべき、という意味においてでしょうか?
ならば他の残された全員がそうですね。しかしそのような常識は金正日に通じません。恥も外聞もない無頼漢ですから、何でもカードにしますよ。

おそらく金正日の予期せぬ展開があるとすれば、地村・蓮池夫妻が、べらべらしゃべり始めることです。今回の五人は、何よりもこの夫妻にとって「とられた人質」であったのです。
2004/05/23 18:40

皆さんの云われることを、私はよく分かります。
「家族会」「救う会」の主張も、良く分かります。「救う会」事務局よりの報告が都度入ってきますし、少額ですが毎月カンパもしています。(新生銀行は振込料タダですから適しています)。先日の日比谷集会・永田町への行進もしました。

小泉が席を蹴って手ぶらで帰ったとしても、私はすっきりと強く、小泉を支持したでしょう。

しかし、確実に可能な、目の前にある救える者を、捨てるのかどうか。私はそれを一概に「馬鹿にされた」と斬り捨てることはできません。

五人の子供の中には適齢期の娘もいます。
地村さんだったか蓮池さんか、娘の婚約の噂が出て動揺したことがあります。あの地で北朝鮮の男との間に子供ができてしまえば、(よど号テロリストの例でも明らかなように、結婚を強制することなど奴等にとって悪ですらありません。よど号の場合はそのけのある日本人娘をうまく北朝鮮へ誘導し、くっつけました。その女が有本恵子さんたちを拉致しました)、地村・蓮池夫婦にとってどうにもならぬ悲惨なこととなったでしょう。この夫妻にとっては、小泉と金正日の「我慢比べ」を耐える、時間の余裕はなかったはずです。私は、「家族」全体の中での配慮から外に出せないが、二家族は小泉に感謝していると思います。

それが金正日の狙いでしょうが。

私は、見捨てることを間違いとは思わない。
しかし見捨てなかったことを「馬鹿にされた」と斬り捨てることもできない。
小泉は承知の上で決断したのです。あとは国民の判断でしょう。

> それに、平沼拉致議連会長が言うように、今回程度の成果
> なら首相が行かなくても十分達成されたはずです。先方は
> 当初、福田官房長官でも十分歓迎する意向だったんでしょ
> う?

これは私は同意できません。平沼さんに金正日が会ったと思いますか? 金正日以外の者が、結論を出せたと思いますか?

> 曽我さんの問題がある限りこれは疑問ですね。

ジェンキンスさんは、まったく別件と思います。
日本人でありません。子供さんも日本人でありません。しゃべることによる曽我さんやジェンキンスさんの被害が、私には想定できません。(註、あとで知ったことであるが二人の娘さんには日本国籍があります。但しお二人が自分を日本人と認識しているとは思えません)。

2004/05/24 20:14

> 別に金正日が出て来る必要なんか無いのです。事務方
> 同士で話を詰めておいて、先方は家族の帰国を金正日
> に裁可してもらえば良いし、こちらはただ受け取りに行け
> ば良いじゃないですか。

と云うことが「あの野郎」相手に実現したと思いますか?
私は思わない。私はそれをあり得ると考えるほど夢想的でありません。金正日をそんなまともな男と思わない。

今回の要点は三つありました。
1.残された家族8人の帰国(ジェンキンス氏ら3人は“来日”)
2.行方不明10名の消息
3.核・ミサイル問題

1.ジェンキンス氏は、本人に日本へ来なければならぬ理由がありません。いくら愛妻のもとへとは云え、言葉も分からず友人もいず、訴追の危険ある場所へ、強いて行かねばならぬ理由がありません。

2.この場で金正日が説明し訂正資料を出すなど、冷静に考えればそもそもあり得ないことです。「将軍様」がそんな手を汚すようなことを、やる訳がありません。「白紙に返した」のですから、これこそ事務方がやればいいのです。私は近々必ず(全部でなく)一部、新たな情報は出ると思います。

3.核は、金正日は絶対に捨てません。アメリカがやってもダメです。核の廃絶を云うより、金の廃絶を考えるのがスジです。核を捨てたら、自分の命運も尽きると、金は確信していると思います(そしてその通りです)。ミサイルは、当座は飛ばさないでしょう。日本のミサイル、「特定船舶入港禁止法案」は早急に成立させなければなりません。

7時のNHKニュースを見ましても、蓮池薫さんが今までになく多弁でしたね。
色々と動いていくでしょう。

朝鮮総連の「高評価」は当然のことです。将軍様のなさったことを最大に持ち上げぬはずはありません。それをもって小泉が「してやられた」証拠とするのは、きわめて短絡的です。

朝日、読売、毎日の世論調査では、すべて今回の小泉を高評価しています。朝日と読売では層が違いますが、それ故、全体としての傾向は見えると思います。私自身は、ここ数年で日本国民は随分成長したと思います。
2004/05/27 07:10

> 経済制裁をやっていれば十分可能だったはずです。

既に実現したことを、実現したかも知れぬ可能性を基準として批判することは、議論のようであって実は議論にならないと思います。「はず」について話しのしようがありません。歴史談義の「たら」です。現実に行われたことが目的に対してどの程度有効であったか、それを判定しなければなりません。相手が金正日という世界史的異常人間であることも条件に入れなければなりません。

昨日(5/26付)産経新聞「正論」欄に、クライン孝子さんが「見落とせぬ小泉外交のしたたかさ」という文章を出しています (アップについては筆者のご了解スミ)。東西ドイツの角逐を目の当たりにしてきた彼女の、一読の価値ある分析と思います。(小泉総理記者会見

同じく今朝の産経は、

> 国民、冷静な「評価」下す メディアの「小泉批判」波及せず

> 小泉首相の北朝鮮訪問をめぐる世論調査は各メディア
> で行われているが、その結果は、メディアを通じて訪朝
> の一部始終を知った国民の多くがメディアの大勢とは異
> なる意見を世論調査で示したという点で、非常に興味深
> いものとなった。

> この落差について、稲増龍夫・法政大教授(メディア文化
> 論)は「マスコミが世論をリードできなくなっていることの表
> れだ」と指摘する。

> 稲増教授は「マスコミに世論がついていかないことは、メ
> ディア社会の成熟といえるかもしれない。それをメディア
> 自身がよく考えねばならない時代になったのではないか」
> と話している。

おそらく今回の国民の反応は「家族会」「救う会」「拉致議連」にとってショックだったでしょうし、他ならぬマスコミもビックリしたでしょう。自分の視点で判断する人が増えていると思います。

私は「家族会」「救う会」を今後とも応援しますし、ブルーバッジも(背広の横ポケットですが)常時装着を続けます。彼らの主張を間違いとは一切思いません。
それを踏まえて、小泉さんは今可能なできるだけのことをしたと思うのです。
2004/05/30 07:55

アメリカのキューバへの経済制裁はどうなっているんですか?
私の記憶では封鎖が解かれたようにはなっていませんが。

毎日新聞 2004年5月16日 東京朝刊、によれば、

>> キューバ:120万人が反米デモ−−経済制裁に抗議キューバの首都ハバナで14日、米政府による新たな経済制裁の強化に抗議するデモがあり、政府発表によると、120万人が参加した。ここ数年で最大規模の反米行動で、「ブッシュはファシストだ」などと叫びながら、デモを繰り広げた。参加者の一部はイラク駐留米軍によるイラク人収容者虐待の写真を掲げた。
 行進の先頭に立ったカストロ国家評議会議長は、キューバ系移民の本国訪問や本国への送金制限を盛り込んだ米国の制裁案を「無慈悲で冷酷」と激しく非難した。>>

ということですから、まだやっているのです。何十年になりますか?

アメリカは“超”のつく軍事大国です。
日本は「交戦権」を憲法によって捨てた“丸腰”国家です。
しかも日本国内には北朝鮮と気脈を通じたマル暴系の人間がいっぱいいますよ。中国、ロシアは云うに及ばず韓国も、いまや親北朝鮮です。すべて陸続きです。キューバのように海に浮かんでいるんでもないですよ。

Yさんの考える「具体的効果ある」経済制裁とはどのようなものか、聞かせて下さい。政治は常に具体論です。可能性を語るなら、実際に起こっていることを参考にしなければなりません。

2004/05/29 21:38

この一文は根拠のない私の想像ですから、反論はお聞きしますが、再反論はできません。確たる裏付けのない文章です。

拉致被害者家族の金正日との闘いは、北朝鮮人民解放事業への参画でもあるのです。北朝鮮人民が、“泣き声もあげられぬ”ほど傷めつけられたいま、あらゆる手練手管を駆使し金正日をぶっ倒すのは、かつて宗主国であった日本の責務でもあります。もし「賠償」の義務があるなら、金正日の首級こそ最大の賠償品であり、北朝鮮人民への最高のプレゼントです。

だから、小泉の交渉を採点するなら、ただ一点、それは金正日の延命に手をかしたのか、行く手に地雷を仕掛けたのか、ということです。私は後者と思いますが、根拠はありません。

地雷を仕掛けた者は、その地雷について説明しません。
爆発したときに、人は、仕掛けられた地雷を知るのです。

小泉が次に手を突っ込むのは、「朝鮮総連」のはずです。昨日の「朝鮮総連第20回全体大会」に、小泉総理はメッセージを送りました。読売によれば、

> 首相が同大会にメッセージを寄せるのは極めて異例だ。
> 日朝首脳会談で表明した「在日朝鮮人への友好的な対応」
> の具体化とも言えるが、自民党内では「首脳会談橋渡しの返
> 礼」との見方もあり、疑問視する声も出ている。

とあります。おそらく、評価する声は出ないでしょう。

私は、もし北朝鮮の「亡命政権」のようなものが出来るなら、それは『朝鮮総連』をおいて他にないと思います。組織、財力、本国との人脈。そこへ小泉は手を延ばしはじめたと想像します。金正日が総連へのメッセージを喜んでいるかどうか、小泉の総連への近づきを、気味悪がっていると思うのですが。

【附録】Sent: Friday, May 28, 2004 8:16 PM
「救う会」事務所へ

今回の家族の皆さまの怒りは、私にはよく分かります。(本当は私が分かるようなレベルでないのでしょうが)。勿論、皆さまを非難・批判する気持ちにはなれません。そして実は、小泉総理もそうではないかと思います。

私自身は今回の小泉訪朝を評価しております。少しずつ金正日の足下を崩していっていると判断します。次がいよいよ十人の番です。しかもそれで終わりではないでしょう。

クライン孝子さんも指摘するように、「日朝平壌宣言を守る限り」制裁を加えない、というのは、守らなければ制裁する、ということです。既に北朝鮮は日朝平壌宣言を破っているのですから、実はいつでも制裁はできるのです。食料支援にしても期限の約束はしていません。そのことを考えると、「期限は設けない」と強調する小泉さんの発言は、逆の意味を持ってきます。即ち、期限を切りたいのは実は金正日ではないか、ということです。

私は「家族会」「救う会」が、今までの路線を変える必要はまったくないと思います。又、変えるお積りもないでしょう。政府に対しても、強い要求を継続すべきと思います。ただ、小泉さんは、もう少し信じた方がいいのではないでしょうか。おそらく、割と近い時期に、徐々に今回訪朝の結果が出始めるのではないかと、希望的な観測をしております。

相手は武力(暴力)のみを支えにした男です。決心すれば、即、ミサイルの発射をやることのできる男です。こちらは憲法によって「交戦権を取り上げられている」国の総理です。「制裁」を放棄するもなにも、その前に牙を抜かれているのです。

いずれにせよ、私はごく微力ですが、応援は続けます。みなさん、がんばって下さい。このメール、できれば「家族」の方々へも転送して下さいませ。

(追加)
2004/06/01 22:32

野村です。想像をもうひと言、付き合って下さい。
今日、北朝鮮船舶への適用を想定した「特定船舶入港禁止特別措置法案」が衆院国土交通委員会で可決されました。三日の衆院本会議で可決の見通しで、今国会成立は確実となったようです。これは確か北朝鮮が、この法案の成立は「宣戦布告とみなす」と、息巻いていたものです。

この国会で成立させるには、時間の余裕はありませんでした。ポーズでなく本気で成立させる積もりならギリギリのタイミングでした。そして小泉は成立させる積もりでした。6月早々には「特定船舶入港禁止特別措置法案」を衆議院で可決する、そうした場合、家族を取り返す目的には、そのあとの訪問では遅いのです。

その後では、小泉訪朝が成立しなかった可能性があります。成立しても「宣戦布告とみなす」法案が通過した直後に、将軍様が人質を返すことがあるでしょうか。
そんなことをすれば、将軍様が脅かされて云うことを聞いた、となるじゃありませんか。
勿論、訪問する必要ない(今人質が帰らなくてもいい)というなら話しは別です。

小泉は、金が、小泉再訪朝・家族返還によって、「特定船舶入港禁止特別措置法案」を小泉が本気で取り上げなくなるだろうとの希望を持つわずかな時間を狙って、金から五人を奪還したのです。
しかも、
○守る限り制裁しない=守らなければ制裁する(つまりこの約束には何の意味もない)
○国際機関を通じて人道援助を行う→いつまで、の約束なし
という間抜けた(金にとって)言によってです。(クライン孝子氏「見落とせぬ小泉外交のしたたかさ」参照)

今回の訪朝は決して「拙速」でなく、狙いすまされた絶妙のタイミングであったのです。

2004/06/02 23:29

> 制裁法案通過後に、あるいはもっと過激に海自護衛艦隊で
> 半島日本海側封鎖をおこなった後に、小泉さんが「交渉はし
> ない、後はどんな答えを金正日が用意するか、それだけだ」
> というだけで充分なような気がしてるんで。

日本と北朝鮮だけの問題と思いますか?

> あるいはもっと過激に海自護衛艦隊で半島日本海側封鎖を
> おこなった後に、

韓国はじっとしていますか?
私は、韓国民は北に連帯して「反日」で沸騰すると思います。中国もバックアップするでしょう。「半島日本側封鎖」というのがどの範囲かよく分かりませんが、公海でやるなら戦争になりますよ。日本はやれるんですか。「交戦権」を持っていませんよ、日本は。

今ですら尖閣、沖ノ鳥島周辺をうろつく中国が、日本の船舶通行を封鎖しないまでも邪魔をする可能性、大です。初歩のリスク管理としてアタマに入れておかねばならないでしょう。やれますか、本当に、日本は?
駒を一つ動かしたら、将棋が変わりますよ。

−−−−−

「特定船舶入港禁止特別措置法案」は明日衆院を通過するようです。今国会で成立するでしょう。北朝鮮の反応が見ものであり、その反応によって今回の小泉・金の得失が想定できます。北朝鮮はおそらく、おとなしいと思います。ジェンキン ス家族の再開を取りやめたりもしないでしょう。国民には「特定船舶入港禁止特別措置法案」の成立を教えもしないでしょう。と、予測します。

1.日朝会談の直後に日本政府を攻撃することは、それ(特禁法)を阻止できなかった将軍様の手抜かりを攻めることになる。
2.ジェンキンス家族の再開を取りやめたりすれば、食糧・医薬の援助がホゴにされかねない。

しかし、高級幹部は実情を知る訳ですから、金正日への評価は下がるでしょう。クーデターへの可燃ガスが、徐々にたまっていくと思います。
「特定船舶入港禁止特別措置法案」成立時の北朝鮮の反応は、面白いです。

約束しないより、約束して実行しない方が、よりコタエル場合があります。私は女性に度々やられました。

 

***(以下はメモ)***

朝日新聞2004.06.03
金総書記は「独裁者」 小泉首相、国会で2度言及

 小泉首相は2日の衆院決算行政監視委員会でのやりとりの中で、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記を「独裁者」と呼んだ。首相は再訪朝についての民主党の岡田代表の質問に答え、「独裁者の国では、交渉でまとまったものでも、話し合いの進展によっては変わる場合がある」「独裁者自身の考えがどうなのか、確かめるすべは私が行くしかなかった」と2度にわたり言及した。 (06/02 22:20)


毎日新聞2004.06.03
6月2日(水)23時19分
<北朝鮮>小泉首相の総連大会祝電を評価 報道官

 朝鮮通信によると、北朝鮮の外務省報道官は2日、先月22日の日朝首脳会談を受け「我々も平壌宣言を履行し、双方が協議した諸問題を前進させるために必要な活動を行っている」と述べた。また、小泉純一郎首相が先月下旬に行われた朝鮮総連第20回大会にメッセージを送ったことを「好ましく評価している」と語った。(毎日新聞)[6月2日23時19分更新]

(ノムラ感想)
前回は「独裁者」発言に強く反発した北朝鮮が、今回は知らんぷりしている。「特定船舶入港禁止特別措置法案」についても触れていない。今、北朝鮮は小泉を非難できない。小泉が金正日に主導権を取られブッタクラレタという識者は、何を見ているのだろう。特にあの、メガネをかけた方でなく頭の禿げた方の教授は偏向が強いね。

2004/06/06 09:44
小澤さんの「小泉は売国奴」発言

2004/ 06/ 01 Vol.026
小沢一郎メールマガジン
http://www.ozawa-ichiro.jp./
◇夕刊フジ「剛腕コラム」188号
「小泉首相はテロリストに屈した」
・・・「テロと断固として戦う−結局は口だけ」・・・

の中で小沢一郎氏は、

「・・・ これらを放置して、前回会談の2時間半を下回る、わずか93分間で会談を終えた首相の外交は「売国奴行為」「国賊的行為」であり、もはや首相はまともな精神状態の持ち主ではないことが明らかになった。」

と記しています。「売国奴」「国賊」「まともな精神状態・・でない」とは、正に罵倒ですね。

更に、2004.05.28毎日新聞によれば、

−−−上記より引用−−−
「僕も(自民党幹事長在任中の)90年10月、北朝鮮に出向いて交渉した経験がある。あの時は(北朝鮮に抑留されていた漁船)「第18富士山丸」の船長さん(紅粉(べにこ)勇氏)たちの救出が大きなテーマだった。深夜にたたき起こされ、北朝鮮側が「船長らは犯罪を犯した、と文書に明記しなければ帰さない」と言ってきたと知らされた。

その時、僕は「バカなことを言うな、絶対に書くな」と主張して押し通した。その声が隠しマイクで(北朝鮮側に)聞こえたらしく、交渉の席に戻ったら北朝鮮側が態度を変えて折れてきた。政治家は主張すべきことは主張しなければならない。小泉首相には、日本の代表としての自覚がまったくなかったと言わざるを得ない。(談)
−−−引用、終わり−−−

とあります。そこで紅粉船長事件での小沢さんの行動を調べました。小沢さんと土井さんが紅粉船長を平壌へ迎えに行きます。
「電脳補完録」
http://nyt.trycomp.com:8080/modules/news/article.php?storyid=2365
金丸訪朝団の悪夢、によれば、

−−−上記より引用−−−
結局、金丸訪朝団は、「戦後四十五年間の謝罪と償い」という主権国家として信じられない3党合意を結ぶ。そして、紅粉船長等の釈放に「前向きな回答」をもらうのである。翌、10月に自民党の小沢一郎幹事長と社会党の土井たか子委員長が平壌に出迎えに行き、ようやく釈放された。この時、小沢・土井の二人は以下のような「礼状」を書かされている。

『自由民主党と日本社会党はこれまで多年にわたり、第十八富士山丸船員の釈放のための切なる要請を行ってきました。この要請を考慮した朝鮮労働党の勧告に従い、今般、朝鮮民主主義人民共和国政府は、共和国の法律を侵害した罪で一五年の労働教化の刑罰を受け服役中の第十八富士山丸の紅粉勇船長と乗浦好雄機関長を人道的見地から大赦令を実施し釈放のうえ日本に返すことにしました。自由民主党と日本社会党は人道主義的立場から第十八富士山丸船員に対して寛大な措置を取られた朝鮮労働党と朝鮮民主主義人民共和国政府に深い感謝の意を表します。自由民主党と日本社会党はこの際、両名が共和国の法律を二度と犯さないようにし、帰国後、両名の言動が日朝友好関係発展に支障を与えることのないよう、あらゆる努力を約束します。』

北朝鮮が二人を不当に勾留したことを「正当」なものとして認め、「寛大な措置」に「深い感謝」の意を表しているのである。さらに、「帰国後、両名の言動が日朝友好関係発展に支障を与えることのないよう」、つまり紅粉船長等二人の口をふさぐという民主主義国家の政党の代表者として自殺行為とも言える約束までしてきている。
−−−引用、終わり−−−

と、あります。

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