3.よど号の妻たちとチュチェ思想

「よど号」ハイジャック犯と、その妻となった女性及びその来歴を並記します。
田宮高麿   森順子     父親が在日朝鮮人
小西隆裕   福井タカ子     元々小西の同志
岡本 武    福留貴美子  高知より騙されて北朝鮮へ
赤木志郎   金子恵美子  チュチェ研活動家
若林盛亮   黒田佐喜子  チュチェ研活動家
安部公博   魚本民子       左翼活動家
田中義三   水谷協子       朝鮮文化研究会
吉田金太郎
柴田泰弘   八尾恵         チュチェ研

ハイジャック犯9名に対し8人の妻がいます。吉田金太郎一人、妻の存在が確認されず、かつ吉田本人の消息が早い段階で途絶えます。粛正されたと言われています。岡本武・福留貴美子夫妻は強制収容所へ送られ、「事故」で死んだ、とされています。ハイジャック首謀者・田宮高麿も、ある朝突然ベッドから落ちて、死んでいました。すぐ火葬に付されたそうです。田宮は晩年日本への郷愁をあらわにし、「20人以上の日本人を拉致した」と漏らしていたと、救う会・西岡力氏は書いています。里心がついて、北朝鮮及びハイジャック犯たちにとって、危ない存在になりかかっていた可能性があります。北朝鮮では土葬が一般的のようですが、慌ただしい火葬処置です。
よど号の妻たちは、騙されて拉致された高知の福留貴美子を除いて、もともと北朝鮮に共感を持つ者たちでした。注目すべきは「チュチェ研」所属者が3名もいることです。そのことは、誘った者が「チュチェ研」関係者、周辺者であったと、十分に想定できます。そして現地において教育は更に徹底され、「チュチェの戦士」となります。八尾恵の前述の手記がそれを伝えています。