10/06/08
皆さん、こんにちは。

5月は遂に一通の発信もできませんでした。
何か、気力が萎えておりました。恥を知らぬ権力者に、私はただ汚れた服を着ている不快を感じ続けたのであります。疑いの目に動じない、自らの言葉の矛盾にひるまない、鳩山さんも小沢さんも、前例のないレベルで、特異な人物であります。

菅さんに替わって、民主党支持率が劇的に盛り返したと報ぜられています。
参院選直前の表紙の差し替えは、予想されていたことでした。国民の反応もこのようになると予測されていました。

自民党は、何度もいいましたが、当面ジタバタしない方がいいと思います。
谷垣さんは今のスタイルで、真面目に、真っ当なことを語り続けるしかありません。
ただ自民党には有能な女性議員が多数いるのですから、私は女性議員をもっともっと前面に出せば良いと思います。

菅総理の政策(=民主党の政策)に私は賛成しませんが、興味があるのが小沢さんとの関係です。
菅さんにとって小沢さんは基本的に「用済み」となった訳です。バッサリやれば自分の人気も上がることは、重々分かっているでしょう。それが出来るかどうか。
用済みの者を棄てるのは小沢さんの常套でした。手口は知り尽くしています。菅さんが小沢さんを上回る手練を使えるかどうか。
法務大臣、というのが面白いです。千葉景子さんの留任でしょうか。ならば菅総理とは「辛光洙」釈放運動の同志である訳です。 小沢さんへの対応は「菅総理」となって、「鳩山総理・小沢幹事長」のバックとは、微妙に変化するハズです。勿論政治の司法への介入が、それと分かる形で行われることはあり得ません。以心伝心です。小沢さんの意向で千葉法務大臣は誕生したと思いますが、千葉さんの動き、法務・検察の変化は、注視に値すると思います。
勿論、小沢さんがどう動くのかも、それ自体は面白いです。楽しくはないですが。

さて今回はカトリック教会聖職者の性的スキャンダルについて。
雑誌『正論』6月号にドイツ在住 川口 マーン 恵美 という方の、
   ローマ法王の憂鬱
   カトリック教会で何が?
   頻発する聖職者の性犯罪
という記事が出ました。

私の属する「横浜アクション・グループ」の代表である赤羽根恵吉氏はこの記事を、同じくドイツ在住のAtsuko Lenarz 氏に送り、同氏から下のような感想を得ました。両氏のご了解の下、公開致します。

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赤羽根様、
この度はご丁重なお手紙を有難うございました。

今回の記事、赤羽根様がどれほど心痛い思いをしながらお読みになったことか、お察し致します。
日本では進歩派、保守派を問わず、いつも宗教関係、特にカトリック教会についての報道は概してネガティヴであり、かつ不正確という印象を受けていましたが、今回の記事でもそれを再確認しました。

このような反教会感情を最高度に煽り立てるヨーロッパ諸国は、大衆世論、教皇批判者の意見にのみ絶対の判断基準を置き、これに逆らう見解を全て保守反動と決め付けるのが一般的です。彼等の論拠を正統づけるために事あるごとく、マスコミの寵児のようにして一方的に紹介されるのは、「下からの教会」「我らは教会」また「ヴァティカンの道60号」でご紹介したZdK(ドイツ・カトリック信徒中央委員会)の役員など教会への反抗を以って進歩的と見做す人々の発言のみです。この人々は、全員が現教皇ベネディクト16世に対する憎悪で一致しています。教皇はまだ枢機卿時代に、公会議の方針を曲解し、全てを改革と称して誤った方向に走ろうとしていた教会の兆候に歯止めをかけようとして「正論」を述べたとたんに、超保守派のレッテルを貼られました。それ以来、教皇は一言発するたびに進歩の敵として世間の非難を浴びてきました。イギリスでは、教皇を「人権侵害のかどで逮捕せよ」などの意見まで出ているほどです。
このようにカトリシズムと教会について偏見しか持たない人々には、数々の諸問題についての教皇ご発言は、教皇個人の意見ではなく教会の声であるという認識が全くありません。
そのために教皇が変われば、発言も変わるであろうと無駄な期待に燃え、それが叶わないと判った瞬間にまたもや教会攻撃という言葉の武器で怒りを晴らそうとするわけです。

それに対して教皇を知る人々、またご著書を読んだり話しを聞いた人々は皆、教皇がどのような意図からいつも的確な発言をされるかを良く知っています。しかし各方面で見識高い教皇を慕い、その言葉の深さに感銘を受ける人々など、教皇の指導下に集まり左傾した教会を正しい方向に導こうなどというグループの意見がマスコミなどで紹介されるということは、絶対にありません。この人々の存在はマスコミから意図的に無視されています。

さて「Will」誌にはハンガリアのジャーナリストの記事が紹介されましたが、私の知る限りではこの国の論評は、もともと現教皇の尊厳性を損なうような記事しか書かないようです。

次に川口マーン氏は、ここ数年のうちに急に論壇を賑わすようになった人物です。数年前に、当地の日本書店でこの方が書いたドイツ滞在記のような本を少し立ち読みしたことがあります。その中でドイツのクリスマス風景について、「クリスマスの祝いに宗教色が付きまとうのが気に入らない。」という意味のことを書いていました。ヨーロッパに生活しながらこの程度の認識度!という感じで後は押して知るべしですのでそれ以来、全く問題外でした。
キリスト教についてこの程度のことしか書けないような人々がドイツ在住の日本人ジャーナリストや作家などとして、ドイツ通として残念ながら幅を利かせているようです。

元々キリスト教嫌いな同氏が、自分と無縁の教会のことなど正しく判断、観察きるはずもありません。ざっと読んだところでは、ドイツのテレビ報道や反教会姿勢を露骨にしている新聞、雑誌などを適当にまとめ、自分としての調査などは全くせずに、後は周囲の知り合いドイツ人などから聞いた話を証拠ずけとして列挙しただけのようです。要するに教会への偏見、無知、個人的な憎悪を口汚い言葉でぶつけただけのお粗末記事に過ぎないという印象を受けました。今まで読んだ反教会記事でも最低なものであったと言えましょう。

明るみになった教会不祥事は事実ですから弁護の余地はありません。問題を起こした司祭を他の地方に転任(左遷)させたところで、本人の歪んだ心理状態、病状を治癒しなければなんの解決にもならなかったわけです。このような内部解決が失敗したために世間からは隠蔽工作などと非難されるわけです。この点は教会も深く反省し、これからは各方面での専門家とコンタクトを密にしていく意向であることは確実です。
川口氏は、「教皇の沈黙」について書いていますが、事件発覚以来、不謹慎な聖職者に対しては「弁護の余地なし、ゼロ寛容」であることを度々、発言され、手紙も出されています。記事を書く限り、この程度の情報はキャッチしてほしいものです。またカトリック教会に対して露骨な猜疑心を表明したドイツ法相に対して、司教団会長のツオリッチ大司教が抗議した時に、メルケル首相など全ての閣僚が法相を守ったなどと報告していますが、これは事実に反しています。この時、メルケル首相(プロテスタント)以下数人の大臣は、「児童の性的虐待などの事件はカトリック教会のみの現象ではなく、他の世界にもある。カトリック教会のみを一方的に断罪する態度は良くない。」と言明したことは、どの新聞でも報道されました。そのために法相は、「教会と争うつもりはない。」として一時的に矛先を和らげました。但しこの法相(女性)は、「無宗教・人文主義者同盟」の会員であり、もともと反宗教に徹している人物ですので、今回のような発言をしたのは当然だったかもしれません。

次に司祭の独身制さえ廃止すれば問題は片付くと言わんばかりの単純発想法も愚かな極みです。今回の聖職者が巻き起こした道徳的な不祥事は、教会以外の分野でも頻繁に起きています。しかしカトリック教会の不祥事のみがマスコミにより一方的に、大々的に報道されるのに対して、プロテスタント系施設、或いは無宗教の名門学校であった不祥事(その数はカトリック系施設よりも多かった)については、ごく僅かな報道のみでこのような不公正報道に疑問を思う人すら少ないというのが現状です。マスコミなどに煽動されて独身制を廃止せよ!との叫びは信徒の中でも高っていますが、私がこの人々に聞きたいのは次の点です。

  1. 司祭の生活費にも廻される教会税を今後は、司祭の家族の生活費の分までも支払う覚悟
    があるのか。

  2. 結婚した司祭が離婚したくなったら、それについてはどう思っているのか。

  3. 今や同性愛結婚も公然としているが、もし司祭がこのような態度に出たらどうするつもりなのか。

  4. 司祭が家族生活を営むなかで産児制限の話しも出てくるであろうが、これについてはどのように考えるのか。

  5. 本当に司祭が必要な場合に、司祭が自分の家族や家庭事情のために来られなかったらどうするつもりであるのか。

司祭の結婚許可を叫ぶだけで、上記のような素朴な問に対する答えは一度も聞いたことがありません。妻帯生活のためにプロテスタントの牧師には、家族との緊張関係に直面し、数度に及ぶ離婚経験者も少なくありません。このような人々にキリスト教的家族倫理などを説く資格はあるでしょうか。

私は教会が信頼と尊敬を回復するにはこの際、過去の膿を全部出して完全な自己浄化に努め、弛緩していた聖職者は、初心の精神に立ち戻り、新たな出発をする以外に治療法はないと確信しています。独身制廃止などの安直な案は、逆に教会の秩序体系、価値そのものの崩壊に通じる危険な要素を含むことを肝に念じるべきではないでしょうか。まして教皇退位要求などは、無責任な介入以外のなにものでもありません。日本のカトリック信徒の方々が低級、粗悪な報道を真に受けて惑わされるようなことのないよう、願うばかりです。
ここドイツでも「ヴァティカンの道60号」でご紹介したカトリック信徒フォーラムの会長が信徒に教会再生のために立とうとして教皇支持をよびかけています。

どうぞ今後ともよろしくお願い致します。

ノムさんの、「観た、聴いた、読んだ、食った」
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