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2006/02/12 今日はダラスの知人が下のようなメールを下さいました。KM氏は私にコメントを求めておられます。正直、即適当なことをしゃべるテレビ・コメンテーターほど器用でない私は、困るのです。とりあえず先に、M氏の話しを転記致します。 −−−−−M氏のメール−−−−− 今回は日本でも2009年度よりの導入が決まっている裁判員制度(米国では陪審員)に関連して、こちらでのわたくしの経験を書いてみます。以前“ノムさんの時事短表”でもとりあげておられました、外国人への参政権とも少し関係があるからです。外国人が米国で市民権を取得するには永住権をまず取得するステップが必要です。永住権から米国市民になることによる、その前との違いは多くございますが、特に生活に大きな影響があるのは、選挙権が得られるのと、陪審員の義務があることでしょう。選挙権はあっても登録しなければ選挙することは出来ませんが、陪審員は義務ですから、ある日突然、召喚状が自宅に来ます。あらかじめお断りしておかねばならないのは、米国では州の中にカウンティー(郡)という自治体があり、その中に市という自治体があり、選挙や裁判はこのカウンティーの管轄になります。また、陪審員制度は州により運営形態が異なりますが、ここではテキサス州のことのみになります。 以前、テキサス州は陪臣員も登録制であり、登録者の中から召還しておりましたが、数が足りないのと世界に冠たる犯罪者の多い国ですから、現在は運転免許証と陪臣員登録者からランダムに抽出しております。と、建前はなっておりますが、現実には特定の人にねらいをつけているのではと思われるような選出方法だと思います。といいますのは、市民となって十数年のわたくしに、ほぼ2年毎に召喚状が6回も来たのに、こちらで生まれて一度も召喚状が来なかった知人が一昨年、74歳の生涯を終えました。彼の奥さんも一度召喚状が来たがゴミ箱に捨ててしまい、何のお咎めもなかった、というように抽出方法は疑問だらけです。運転免許証での抽出ですから、外国人や不法滞在者にも召喚状が行きます。(税金の無駄使い) 陪審員の資格は、市民であり、年齢18〜70歳まで、ただし学生や10歳以下の子供の世話をする必要がある人は免除されます。もちろん犯罪者は除外されます。その他、英語がわからないとかでも免除されますが、仕事の都合、風邪やケガでは免除されず、他日へ変更されるだけです。全ての免除理由をこの召喚状(往復はがき)に書いて送り返します。 さて、通常指定された日は月曜日の朝で8時までに、カウンティーの裁判所へ行きます。わたくしのカウンティーでは千人ぐらいがいつも大待合室に召喚されておりました。ここで2回目の、免除理由の申請が行われ、免除されれば家へ帰れます。この後、各人にどの裁判の陪臣員の審査を行うのかの割り振りが行われます。わたくしの場合は、6回とも重大犯罪、裁判所で一番大きい裁判、70人近い候補者の一人に割り当てられました。このことからして、ランダム抽出は建前だけである(筋書きは決まっている)ことがわかります。 該当の裁判室に行き、散々待たされて、裁判長、犯人(容疑者)、弁護士、検察官、記録者、傍聴者と、本裁判と同じ状態での陪審員の選出の為のトライアルが始まります。その前に各人に紙のアンケート調査があり、自分の住所や学歴、職業、家族及び親戚の犯罪歴や被犯罪歴、過去の陪審員の経験の有無とかを書き込み、これを検察官、弁護士、裁判長の参考資料とします。 犯人には発言の機会はありませんが、犯罪の詳細、罪状についての全ての説明がなされると共に、裁判の公正さや、裁判の意味等の説明がえんえんとなされます。 そして弁護士及び検察官から陪審員候補者全員、また、一人一人に質問が主に先のアンケート調査を基になされます。例えば、以前の陪審員になった時の感想とか、今回陪審員に選ばれたら受け入れるか、拒否するとすればその理由は何かとか、学歴は、仕事は何をしているとかですが、一番驚くのは(アメリカらしいことですが)ほぼ6割以上の人が、過去に家族や親族に犯罪者や犯罪にあったことがある人たちがいる事実でした。 これらの質問に雄弁に答えた人、素人から見ればふさわしいと思えるような人は、まず、はねられ逆におとなしい控えめな人が選ばれました。わたくしはアホを装い、聞かれたことしか発言しなかったのですが、選ばれたことがあります。おそらく雄弁者は自分なりの思想があり、公平さが期待できないという理由で選出されないのでしょう。わたくしの場合は英語の問題もあり、裁判所の硬い椅子で初めて聞く専門用語を聞き逃さないとする神経から、大抵午後になると偏頭痛がして大変でした。それでもここはアメリカですから、裁判長を始め、ユーモアのセンスは高いですから、何度も爆笑、容疑者までも笑いにつりこまれそうになることは多々でした。 陪審員選出は弁護士、検察官両方の合意で行われ、わたくしの経験した様な大きな裁判では、12人が選ばれます。ここまでには1〜3日かかりますが、わたくしの場合は2日目の午後5時前までに決まったことが多かったですが、3日かかったこともありました。 選ばれなかった人はどうしても笑顔になり家へ帰ります。選ばれた人はむっりと押し黙ったまま(理由はわかるでしょう)、居残りで明日からの本裁判の説明を受け、明日より約一週間ぐらい裁判所へ通うことになりますが、裁判の規模により異なります。
さて、自分の経験からの陪審制度への感想を書きます。自分は単純な庶民ですから、この制度は単純な理由で反対です。 (1)自分には人の生死を分けるような判断が出来る能力は無いから、専門家がやるべきだと思う。 (2)自分は小企業の経営者だから、O.J.シンプソン裁判のように、一ヶ月以上ホテルへ閉じ込められ、情報が遮断されれば商売が成り立たないこと。(選ばれないとは思うが。) 社長はお客とゴルフでもしていてくれというようなことは米国の小企業では望み薄で、経営者への負担は相当に高い。 上記(2)に関連しますが、従業員への陪臣員活動中における給与は雇用者が支払う義務はありませんが、殆どが支払っているようであり、わが社も当然支払います。(わたくしの給料は誰が払ってくれるん?)そうでないと社員は生活が出来ません。陪審員選出期間の日当は従来は$4でしたが、前回行った時は$6でした。終わりの日に小切手をもらうわけですが、ここでもまたアメリカらしいのですが、寄付するかどうか聞かれます。3日分でも$12ですから、ガソリン代、昼飯代にもなっておりません。歩くのを嫌がって有料駐車場を使えば大赤字です。わたくしの場合は、あまりにも有り難くもあり、また情けないので6回とも寄付してきました。陪審員へ選ばれても一日$10の手当てだけです。これで一週間から一ヶ月時間をとられたら、わたくしの損害は大変に大きいです。
−−−−−M氏のメール、終り−−−−− ==ノムラのコメント== ・・・・日本の「裁判員制度」が最終的にどのように決まったのか、私はよく知らないのです。いずれにせよ選ばれて呼び出しを受ければ途方に暮れるでしょうね。主な理由はMさんと同じです。
とはいえ、現在の裁判が常識に外れた判決の多いことも事実です。職業裁判官にのみ任せてはおけないことも、十分理解できます。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 本件についてはご意見を募集致します。本ページへ掲載を前提に情報・ご意見をお寄せ下さい。宛先は、nomusanアットマークdream.com(すべて半角小文字)です。但し掲載は一二件にさせて頂きます。個別のご返事は致しません。 |