2014年2月14日 追記
NHK籾井新会長発言に対する「毎日」の社説(四、終)

 

昨日(13日)、NHK籾井会長が定例の記者会見を行ったそうです。毎日新聞のサイトから引用します。全文はここへコピーしておきます。
 

籾井・NHK会長:就任時発言「済んだこと」「私見は述べない」
(2014.02.14 毎日新聞)

就任記者会見の従軍慰安婦をめぐる発言などで批判を受けたNHKの籾井勝人(もみいかつと)会長(70)が13日、就任会見(1月25日)後初めての定例会見を開いた。前回、私見として話した内容をすべて取り消すとしたうえで「済んだこと」「就任会見のことはあまり聞かないでいただきたい」と質問を拒む場面もあった。([追記 2]参照)

(中略)

就任会見で「オランダに飾り窓がある」と従軍慰安婦がいたと受け取れる発言について、「誤りでは」と事実関係をただす質問が出た。籾井会長はこれにも「控える」と回答しなかった。質問のたびに、隣の上滝賢二理事から10回以上メモが渡され「個人的な意見は差し控えたい」と繰り返した。最後は「大きく学んだことは私見を述べてはいけないと教えていただいたことだ」と、皮肉を込めて話し、軽く一礼して会見場を去った。

(後略)


籾井氏は就任記者会見で「私見を述べたこと」を謝り、その「発言」を取り消したのであって、発言の内容については語っていません。それを語ること自体が「私見」になると言っているのです。「私見として話した内容をすべて取り消すとした」という毎日記事は、意識した誤読と思います。

この部分を朝日新聞の“詳報”から引用すると次の通りです。

――発言を取り消すということだが、そもそも取り消すのは「私見を述べたことが誤解があった」ということで、中身には問題がないと思っているのか

私見について述べたところが不適切だということで発言を取り消したということです。

分かりにくい会話ですが、籾井さんが何度も述べているように、「私見で述べた発言を取り消す」ということです。
“「大きく学んだことは私見を述べてはいけないと教えていただいたことだ」と、皮肉を込めて話し、軽く一礼して会見場を去った。”
これは「皮肉」というより、「厭味」でしょう。「揶揄」という言葉もあります。皮肉、よりは強い言葉と思いますよ。

いずれにせよ報道陣は、以後、「私見は述べない」という絶好の口実を、籾井さんに与えたのです。そして、私見でない意見など無いのです。意見はすべて私見です。私見でない発言など意味は無いのです。

報道は自ら、情報収集源の一つを、塞いだのです。


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[追記] 2/14夜

先週に続いての雪ですね。日中は雨でしたが、夕刻から気温が下がったのか雪になって、今はもう相当に積もっています。

本頁は毎日新聞の記事を原本にして書きました。毎日社説に対する批判の継続ですから、毎日の記事を対象にするのが適当と考えました。

一つだけ、朝日の記事(同会見の“詳報”)から引用したい一節があります。「追記」として書きます。

――新規契約のために訪問した際、会長があんな発言をするような公共放送には契約したくないと言っている人がいるのでは。件数はどうか

(福井理事) 今のところ把握していません。

これは朝日新聞に載ったというだけで、質問者の所属が何処か分かりません。私が不思議に思うのは、偏向を批判している記者が、このような片手落ちな質問をして、平気なことです。おそらくこの質問者には、自分の質問が片手落ちであるという認識は無いでしょう。

籾井さんの発言によって、NHKには受信料を払いたくないと考える者がどれくらい出たか、という質問でしょう。しかし、あのような発言をする人が会長になったのなら、NHKに金を払おうか、と考える人もいるのです。私の仲間に、NHKの“偏向”に腹を立て、受信料の支払を拒否している人がいます。その人はおそらく籾井さんに期待し、期待通りであれば、受信料払込を再開するでしょう。籾井さんの発言によって、受信料を払いたくなくなった人がどれだけ出、払いたくなった人がどれだけ出たのか、というのが偏向の無い質問です。

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[追記 2] 2014.02.15

ここで籾井さんが、オランダの「飾り窓(の女)」と従軍慰安婦を混同して話したように質問されていますが、(この記事だけを読んだ読者は籾井さんがそのように言ったと勘違いする低質な曲読です)、朝日新聞の“詳報”によれば、その部分の籾井発言はこうです。

戦争をしているどこの国にもあったでしょ、ということです。じゃあ、ドイツにありませんでしたか、フランスにありませんでしたか? そんなことないでしょう。ヨーロッパはどこだってあったでしょう。じゃあ、なぜオランダに今ごろまだ飾り窓があるんですか? 議論するつもりはありませんが、私が「どこでもあった」と言ったのは、世界中くまなくどこでもあったと言っているのではなくて、戦争している所では大体そういうものは付きものだったわけですよ。証拠があるかと言われたけれども、逆に僕は、なかったという証拠はどこにあったのか聞きたいですよ。

籾井さんは、「戦争をしている国(所)」のことを話したのです。オランダについては、(しゃべる必要のないことでしたが)、「今ごろ」のことを話したのです。“今ごろ”アムステルダムは戦争渦中にありません。私が知っているのは15年も前のことですが、普通に市街を散歩しているといきなり飾り窓があって、妻が飛び上がった記憶があります。“従軍”慰安婦とは別個の話です。質問者に言葉の理解力が普通にあれば、そして“偏向”の無い心をもっていれば、このような質問は出ないのです。

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