2014年6月19日
教皇フランシスコの訪日問題(二)

 

日本の司教団の、フランシスコ教皇訪日を求める二つの文書を読みました。

1) 2013年10月4日付 「訪日要請文」
2) 2014年6月7日付 「岡田大司教“コメント”」

前者は直接教皇へのお願いであり、後者は教皇が安部首相の訪日要請に対して“前向きな”返事をしたことを受けて、おそらく日本の信徒へ、司教たちの立場を解説したものと思います。司教たちの教皇に対する希望、期待が、より詳しく語られています。

その中での眼目は、「原発廃止運動」「現憲法の護持」の2点への支持・お墨付きの取り付け、であると想定できます。
何故ならばその他の、「高山右近の列福」「信徒再発見150年」については、司教団中央の活動として、日常余り見えていないからです。

この二本が、現在の日本の司教団の、高く掲げている幟であります。『布教』『福音宣教』などという“幟”は、あまり見たことがありません。

さて、フランシスコ教皇のご訪日が実現するとして、司教団の期待は叶えられるでしょうか。

1. 政治的な側面から、
2. 教義的、政策的な側面から、

司教団の希望は、共に叶わぬだろうと思います。教義的政策的な面からの検討は次回以降にするとして、今日は、政治・外交面から見ます。

上の「現憲法護持」「反原発」は共に安倍政権の政策とまったく逆のものです。事実、多くの司教様方が、反自民・反安倍を公言しています。その点については国会における中丸啓議員の発言は、正しいのです。司教様方が中丸議員に抗議しない理由の一つがそこにあります。

ところで、教皇の訪日が実現するとすれば、それは日本国政府、安倍政権の招聘によって、いらっしゃるのです。

招いてくれた相手国の政策を否定する発言をしますか?
どうしても否定しなければならぬ政策を取っている国を、招かれたからとて、訪問しますか?

従って教皇の取り得る態度は、
1. 訪日しない
2. 訪日するが、司教団の求めには応じない

更に、少ない可能性ではありますが、教皇は、間接的に現政権政策の支持をするかも知れません。(その理由については次回以降に書きます)

教皇の訪日が自分たちにとって極めて危険なものであることを、司教団は即座に感じただろうと思います。岡田大司教の“コメント”を読んだ私の第一感は、「教皇訪日潰し」に動いた、ということです。応じられない願いをすることは、来にくくすること、妨害と同じです。本当に訪日を望むなら、訪日を前向きに検討して下さるとの言葉に喜びを表すはずです。その文言が、冒頭にあってしかるべきです。

ところで、ヴァチカンは「反原発」でないということを、次回に書きます。

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