2012年10月13日
原発を棄ててはならぬ理由

「東電福島第一原発」の事故が、私の気力を萎えさせたと書きました。日本人というものへの深い失望でした。そのことについては次回以降、ゆっくり書いていきたいと思います。それでも私は「原発保持を必須」と思う人間です。そのことを今回書きます。

原発の反対派も賛成派も、議論は「安全性」と「経済性」の中で為されています。原発を使う危険と、使わぬことによる危険

私が考える条件は、安全性・経済性の前に、
「原発も原爆も、世界から無くならない」
ということです。
この角度からの議論は、私の知る範囲で、為されていません。

今の議論は、「原発は危険だから止めろ」というのと、「安全対策を万全にやれば大丈夫だ」というのとに分かれています。原発を廃止すれば電力料金が暴騰する、逆に再生可能エネルギーが長期的には経済的だ、 ── 遠い先でなければ、どちらが正しいか実証できません。

放射線についても、微量でも危険だというのと、微量の放射線はむしろ体に良い、というのと、極端です。

言いたい放題です。言いたい放題が許されるのは実証された資料が少なく、かつこれから実証するにも長い年月がかかり、人体実験が出来ないからです。つまり正誤の結論が出ない、好きを言えるテーマです。

「危険だから止めろ」という主張は、言葉の論理は正しいでしょうが、世界を対象とすれば空論です。空論とは、あり得ないということです。

人類が、極めて有効な素材を、それが危険であるという理由で棄てたことはありません。

正確にいうならば、「危険である故に」保持しようとしてきました。危険を保持した国(民族、あるいは部族)が、それをしなかった者を支配してきました。

原発は勿論原爆も、無くなることはありません。無くなるとすれば「核」以上に危険なものを人類が発見し、核が“陳腐”になった時です。それ以外にはありません。
イランや北朝鮮を見ても明らかなことです。北朝鮮は既に核兵器を持ち、イランも持とうとしています。周辺も、その方向に動くでしょう。

だから議論は、世界から絶対無くならない巨大エネルギーを日本はどうするのか、棄てるのか、持ち続けるのか、ということでなければ無意味です。それは国防の問題であり、独立の問題です。イランが、「核は主権の問題だ」と言っているのは、その意味です。

大江健三郎氏など“小説家”と呼ばれる人たちが「反原発」運動をしています。この人たちは、世の中から原発・原爆が無くなると思っているのでしょうか。その実現を信じているのでしょうか。哲学者ならいざ知らず、「小説家」が、そんな幼稚な想像力でやっていられるのでしょうか。

原発関連資料によれば、現在世界で建設中75基、計画中94基の原発があります。[世界の原子力発電開発の現状](内、日本は、建設中4基、計画中9基です。今の民主党政権は計画中のものは却下の方針です)。

かつて、早期退職・リストラされた半導体技術者が、大量に韓国へ流れました。それらがいまのサムソンの基盤になったと言えるでしょう。日本の弱電は韓国勢に打ちのめされました。
東電の原発技術者に韓国・中国から誘いの手が延びているといいます。おそらくかの国からみれば垂涎の人材でしょう。何しろ「最悪の失敗」を経験した人々です。これ以上に価値ある技術者はいない。失敗の中でしか学べないものがあるのです。経験とは失敗の数です。
次世代原発の時代、日本は韓国・中国にひれ伏すのでしょうか。

「技術」の可能性を信じるのか、ここで停止せよと言うのか、そこで根本的な違いが生じると思います。日本がどうであれ、世界は進んでいくのです。
「都市鉱山」という言葉があります。有害物とされてきた廃棄物が、実はレアメタル、レアアースの宝庫であったということです。
「不法投棄」された家電の山は有価物の保存場所(宝の山)であった、と言えるのです。
「放射性」廃棄物、と呼ばれているものが、将来そうならないと言えるのでしょうか。このテーマはおそらく、必死の研究が為されていると思います。放射能がそのまま電力に変換される、などというものです。

核技術は非常に奥の深いもので、人類はそのほんの入口にいるのでしょう。ビル・ゲイツが小型原子力発電所の研究に関与しているとのニュースが、大震災の前にありました。東芝に1,000億円規模の投資をするとの“しんぶん”記事がありました。投資はマユツバでしょうが、ゲイツが東芝を訪ねたのは事実です。

友人が「トリウム溶融塩原子炉」というのを教えて呉れました。これがどれだけの実現性を持つものか私には判断できませんが、これに限らず、多くの頭脳が、多様な研究を続けていると思います。
私たちは科学技術革新に、夢と希望を持って良いと思います。その為に、技術者たちが生存できる培養地(原発の存続と更新)を、我が国の未来のため、持続する義務があるのです。「安全性」と「経済性」は、勿論重要なテーマですが、世界で進化し増殖していくエネルギーから日本が去ることは、我が国の独立をも危うくすることになるでしょう。国力とは、結局、エネルギーです。
私は政府は、原発の保持と更新をきちっと謳うべきと思います。(最新のものほど当然安全性は高い。私は40年といわず、この際、早めに更新すれば良いと思います。実は更新の困難さが、福島第一原発を存続させてしまったのです)。

安全保障面からも、核技術者の国外流失は国への大きな打撃になります。核兵器は、絶対に無くなりません。国防の為にも核技術者は必須であります。


=追記=
パソコンの中を検索してみると、ビル・ゲイツの東芝訪問に関する記事のコピーがありました。資料として載せておきます。記事の信憑性については「新聞」です。

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[東京(2010年3月)23日 ロイター]
  東芝は23日、同日付日本経済新聞朝刊が、米マイクロソフトのビル・ゲイツ会長と東芝が組み、燃料交換をせずに最長100年の連続運転が可能になるとする次世代原子炉「TWR」の開発に乗り出すと報じたことについて「技術協力の可能性の検討を開始したのは事実だが、現時点では非常に初期の情報交換を始めた段階で、開発や投資について具体的に決定した事実はない」と明らかにした。東芝の広報担当者がロイターの取材に答えた。

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[産経新聞] 2010.3.23 09:46
東芝、ゲイツ氏と次世代原発開発へ 維持コスト管理を低減
(前略)
  共同開発を目指すのは、米原子力ベンチャー「テラパワー」が基本設計を進めている「TWR」と呼ばれる高速炉。国内外の一般的な原子力発電所では軽水炉が濃縮ウランを使うのに対し、TWRは劣化ウランを燃料に使用。軽水炉の場合は数年おきに燃料交換が必要だが、TWRの場合は最長100年間も燃料交換が不要で、出力も10万〜100万キロワットと、軽水炉並みの出力が見込める。
  一方、東芝では出力が1万キロワットと小さい一方で、燃料交換が30年不要な高速炉「4S」を開発済み。僻(へき)地(ち)での発電など、維持管理が困難な場所での利用に適しており、米国の規制当局の認証が得られれば、2014年にも米国内で着工する。
(後略)

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