2013年6月20日
橋下徹氏の慰安婦発言(続々)

石原慎太郎さんが橋下さんの慰安婦関連発言について、強く批判したそうです。石原さんは橋下さんを擁護していたように受け止めていたので、意外でした。

日本維新の会の橋下徹、石原慎太郎両共同代表ら党幹部は19日、名古屋市で橋下氏の慰安婦をめぐる発言に関し対応を協議し、発言の撤回は不要との認識で一致した。[産経新聞2013.05.20]

ということであったはずでした。
この時点でどうして橋下批判をしたのか、するならばもっと早い時期にするべきでしょう。石原という人を、ちょっと考えます。維新には橋下さんよりも更に本格的な、中山成彬のような人もいます。中山さんはどう動きますか。石原さんは「維新」への熱意を失ったように見えます。

今回の橋下発言については、曽野綾子さんがどう語るか、私はそれに一番関心がありました。曽野さんは必ず発言すると思っていました。なぜ曽野さんの発言に興味があるかといいますと、私の考えは非常によく曽野さんの考えに一致します。今回は6月5日の産経新聞「透明な歳月の光」で、“政治家の言葉には「戦略」が要る”という題で載りました。部分引用します。

同じ発言が、政治的な力を持たない人のものならば、全く問題にもならなかったのだ。(中略)

しかし政治的立場の人はそうはいかない。政治的人間には、「戦略」という非常に重要な配慮が、一種の賢明さとして要る。つまり同じことを言うにしても、いつ言えばいいか、どういう相手に対して、どういう場なら、どの程度言っていいのか、という計算ができなければならない。

つまり曽野先生は、今回の橋下発言には「戦略」が無かった、と仰るのです。それはその通りでしょう。

しかしこの「慰安婦」の問題について、どのような、効果的な政治的「戦略」があるでしょうか? 政治家が戦略的に、丁寧に説明して、聞く耳を持つ者がいますか? 「戦略」とは、「効果がある」ことを前提とします。

私は、前から関心はありましたが、今回の橋下発言を契機に、関連本を何冊か読みました。最重要と思えるのが、

若手国会議員による歴史教科書問題の総括
『歴史教科書への疑問』
日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会編
展転社(平成9年12月23日刊)

16年6ヶ月前の天皇誕生日に刊行されています。故中川昭一氏を代表に、安倍晋三氏が事務局長を務めています。九回に亘るシンポジウムの記録で、当事者の生々しい証言が収められた、500余頁の記録です。真面目で誠実な活動であり、発言であったと思います。橋下さんが問題にした諸点は、ここですべて俎上に上げられています。
しかし、この活動、この政治家の発言が、何か「効果」を上げたでしょうか?

  1. 国の関与を示すものは無かった

  2. 「従軍慰安婦」という言葉は無かった

と、明確に証言されています。

最も面妖なことは、証言の収集が元“慰安婦”16名に対してのみしか行われていないことです。しかもその証言は未だに(平成9年3月19日時点で。おそらく現在も)公開されていない。元慰安婦の証言に対する裏付調査も、一切為されていません。20万人も「強制連行」されたと言うんですよ。見た者は勿論、歯向かった者も大勢いたはずです。

日本維新の会の中山成彬代議士会長は7日の党代議士会で、慰安婦問題で強制性があったとする韓国側の主張に対し「自分の子や近所の娘が連行されるのを黙って見ていたのか。そんなに朝鮮人は弱虫だったのか」と発言した。当時の朝鮮半島は人口2千万人余りだったとした上で「(韓国側が主張する)20万人も連行したら100人に1人(の割合)だ」と指摘。同時に「日本人をおとしめ、彼らの先祖もおとしめている。(応酬は)お互いにやめよう」と和解を求めた。[産経新聞2013.06.08]

日本側はともかく、韓国側が一切の証言収集を行っていないのは不可解でしょう。100人に一人の割合で、若い娘が「強制連行」されたのです。修羅場が続出していて然る可きです。証言収集を行わなかったのでなく、証言者がいなかったと理解すべきです。修羅場は無かったのです。

これは吉田清治という人の、『朝鮮人慰安婦と日本人』という本について秦郁彦氏が行った、「現地調査」によっても理解できます。(秦郁彦『昭和史の謎を追う』下巻p.319~)
現地調査によって、吉田の嘘が暴かれました。
後に吉田清治は自分の虚言を認めたそうですが(私はその資料をまだ見ていません)、韓国や国連では未だに『朝鮮人慰安婦と日本人』が正しい証言として使われているようです。日本人のみならず韓国人に対しても、吉田は罪人でしょうね。このような虚言や、宮沢首相や河野官房長官の発言が、日韓の、本来可能な友好を、どれほど阻害しているか。

私は「橋下発言」を契機として、日韓は、この際大喧嘩をしても良い。その先に友好があるのだと思います。(甘いか)

いずれにせよ、「河野談話」の見直しを含め、日本はきっちりと、本来の立場を表明すべきでしょう。

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