(附録2)
平成17年小泉総理年頭記者会見より
ノムラカツヨシ

(1)小泉訪朝
(2)小泉再訪朝
(3)小泉再訪朝を評価する

(4)櫻井よしこ論
(5)北朝鮮への経済制裁
(6)敵の意図は、敵しか知らない
   (附録1) 2004.12.25「産経抄」について

2005.01.04
総理の年頭記者会見が行われました。北朝鮮問題に限って検討してみますが、私が考え込んだたのは、質問者の相も変わらぬ誤認識に対してそれを正さぬ総理の姿勢です。 私には非常に面白いです。(以下引用はすべて「首相官邸」サイトによります)

【質問】 北朝鮮問題についてお聞きします。
 安否不明者の調査問題をめぐって、北朝鮮側は日朝実務者協議の打ち切りの可能性について言及していますが、どう対処するのか。経済制裁発動のタイミングも含めて、日本政府の対処方針についてお願いします。
 それと、任期中に掲げられた日朝国交正常化実現の方針について、現時点での見解についてもお願いします。

 「任期中に掲げられた日朝国交正常化実現の方針」=任期中に日朝国交正常化を実現するという方針(?)、そんなことを小泉総理は一度も口にしたことありません。これは (4)櫻井よしこ論 に記しました。総理のこの部分への回答は次の通りです。

【小泉総理】 
北朝鮮との交渉に際しましては、今までも申し上げましたとおり、対話と圧力、そして日朝平壌宣言にのっとって、お互いが誠意ある対応をしていこうと。
 この日朝平壌宣言を誠実に履行した段階において国交正常化を図っていこうということでありますから、この方針に全く変化はございません。安否不明者の調査の問題につきましても、今までの調査においては日本としては納得できないと。
 今後、北朝鮮側が日本側の疑問点、再調査の報告等、疑問点を提示しておりますので、これに対して誠意ある対応をしてくるよう、今、求めております。その対応を見極めていきたいと思っております。
 また、北朝鮮側は、表面的には打ち切り等いろいろなことを言っておりますが、私どもといたしましては、表面的な発言ぶりと、実際の真意というものがどういうものかよく見極める必要があると思います。今までの過去の発言、それから実際の行動、そういう事情もよく承知しておりますので、表面的な発言ぶりと本音はどこにあるか。いずれにいたしましても、対話と圧力の両面から交渉をしていかなければならない問題だと思っております。
 また同時に、北朝鮮との交渉は拉致の問題のみならず、核の問題、ミサイルの問題、これを総合的、包括的に解決をしていかなければならない問題でもあります。
 国交正常化の問題につきまして、これは別に期限が区切っているわけではございませんが、北朝鮮がその気ならば、日朝平壌宣言を誠実に履行した暁には、国交正常化が望めることになりますから、期限を区切るわけではありません。私は、今の北朝鮮と日本との敵対関係を友好関係にすることが、日本と北朝鮮のみならず、朝鮮半島、世界の平和のために必要だと思っている観点から、できれば北朝鮮と日本との今の不正常な関係を正常化していきたいと、いつでも思っております。別に期限を区切っているわけではございません。

この小泉総理の方針は第一回訪朝、第二回訪朝、済州および指宿における日韓首脳会談、一分の狂いなく首尾一貫しています。

>>日朝平壌宣言を誠実に履行した段階において国交正常化を図っていこうということ
>>拉致の問題のみならず、核の問題、ミサイルの問題、これを総合的、包括的に解決をしていかなければならない
>>国交正常化の問題につきまして、これは別に期限が区切っているわけではございません
>>北朝鮮がその気ならば、日朝平壌宣言を誠実に履行した暁には、国交正常化が望める
>>期限を区切るわけではありません
>>別に期限を区切っているわけではございません

私が興味深いのは、記者の質問に対して自分が「任期中に日朝国交正常化を実現するという方針」など表明したことはないと説明すればいいものを、小泉さんはそれをやりませんね。実に面白い。
記者は意図してか単なるバカか、現実にない前提で質問しています。小泉総理はその間違った前提を正そうとしません。結局のところ小泉総理は誤解曲解を容認しています。それを政治的にマイナスばかりと思っていないのでしょう。この人の政治家としての底の深さは、こうしたところにあります。

拉致被害者家族の増元照明さんまで、いまだこんなことを言っています。
=産経新聞2004.12.30=
小泉首相にはもう一度『拉致問題の解決なしに国交正常化はあり得ない』とはっきり言ってもらいたい。

小泉総理は何度も何度もそう語っています。 「拉致の問題のみならず、核の問題、ミサイルの問題、これを総合的、包括的に解決をして」、・・・・それ以外のことを言ったこと、ないですよ。

小泉総理は「今の北朝鮮と日本との敵対関係を友好関係にすること」と常々語っています。 「友好」という方にみんなは気をとられます。しかし、現在は『敵対関係』なのです。小泉総理は首尾一貫、そう認識し、緊張の中で金正日に対峙しているのです。現在北朝鮮とわが国は「敵対関係」にあること、小泉総理はそれを公言し、その認識のもとに動いているのです。

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